2017年6月6日火曜日

【6月3-4日(土-日)】 知りたくないぜ 明日がどんな日だって [車の旅36-37日目]

6月3日(土)

水俣、と聞いたら、10人中10人の頭に浮かぶのではないだろうか。


水俣病だ。
小学校か中学校で名前と概要くらいは学んだが、詳しいところまでは知らない。
ならばこの機会に、資料館を訪れてみよう。


昨年にリニューアルされたばかりのようで、綺麗な施設。入館は無料である。
館内は撮影禁止だったため、写真は無いが。

各コーナーの展示は、実に事細かであった。一つひとつ、じっくりと読み歩かせてもらう。
病気の原因をつくったのは、当時の水俣そのものともいえるほど、地域に根ざしていた大企業。
会社が立ち行かなくなれば、水俣全体の経済や生活にも大きな影響をもたらす。
そんなジレンマもあってか、海への排水は止められなかったという。


屋上展望スペースからの眺め。 かつて汚染された水俣湾は、すっかり綺麗にされ、埋め立てられている。


いまは広域公園となっているようで、土曜日の昼下がりに、サッカーの試合をする男子学生たちの声で賑わっていた。


手前のゲームが、ちょうどPK戦にもつれこんだところだった。
3本目、後攻の子がゴールポストを大きく外してしまったところまで、こっそりアリーナ席から観戦。


水俣メモリアルというオブジェ。108の球体が並んでいるそうだ。
暗くなると、一つひとつがライトアップされるようである。


患者さんや家族が受けた、あるいは水俣出身であるゆえに被った、差別・偏見・嫌がらせ・誹謗中傷。
その苦しみは、筆舌に尽くしがたい。

水俣病のせいで地域の絆も失われた、というのも悲しい話だった。
船を繋ぐ、あるいは共同作業のことを指す「もやい直し」という言葉になぞらえ、
ばらばらになってしまった心を、もう一度つなぎ合わせる。そんな水俣の再生は、いまも続いている。


熊本県には、いったん別れを告げる。
東部の方には後日また、ちょろっと足を踏み入れたい。


バンビアイランド、鹿児島県に入る。方向性のよく分からないキャラクターが出迎えてくれた。


じゃが串。揚げられた小じゃがいもが旨い。


ぶらりと、海沿いを走っていく。


8分の3か2目盛りになったら給油を心がけているものの、
タイミングを失って1目盛りになってしまうと、さすがにちょっとヒヤヒヤする。
まあ誰も来ない山道でガス欠になったら、ネタにはなるかもしれないけど。しないけど。


鹿児島のウェストサイド、薩摩半島を南下し、枕崎市。


まちのお湯屋さんがあったので、ひとっ風呂いくとする。
生薬をブレンドした、すごい色の湯船などもあった。


街外れに良さげなグラウンドがあったので、その駐車場で車中泊させてもらう。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:261km/Total:8,631km】



6月4日(日)

そのグラウンド。畑やら太陽光発電スペースやらが何区画もある一帯の、片隅。
夜間は人も車も通らず、物音のしない超静かな環境だった。


抜け出すのに、ちょっと迷ったけど。


開聞(かいもん)岳、という山らしい。円錐形に整った形をしている。


ご当地グルメ、あつひめバーガーというのを食す。けっこうボリューミーで、お肉がプリプリしており旨い。
姫は薩摩の生まれだったのか。大河ドラマも観てないので、知らなかった。


薩摩といえば、その名の通りサツマイモ。ほくほくした食感と、素材そのものの甘みだけで充分に旨い。


鹿児島湾に沿って周って来ると、日曜の道の駅は車でいっぱい。
そして向こうに見えてきたのが、桜島。


行ってみよう。噴石・降灰スリップ注意と。了解。


思っていた以上に、もくもくしている。


 
随所に、退避壕というのが設置されている。活火山の足下ならではだ。
こういうところで生活を営むのは、えらいことだな。


火山灰らしきものの堆積も確認できる。ピントがズレてるぞ。


対象物を右手に見て走る法則により、左回りで行く。


第一党と野党と、各議員さんのポスター。ポーズが被っているけど、故意なのか偶然なのか。
公職選挙法は詳しくないが、いちおう名前だけ隠しておこうか。


さほど時間もかからず、いまは陸続きとなった島を一周。北側からは、ほとんど山は見えなかった。


鹿児島県のイーストサイド、大隅(おおすみ)半島を南へ下り、佐多岬のあたりへ。
そこから東へ向かおうと、夕方から県道へ入っていく。


自衛隊の射撃演習場があった。


いつも通り山道なわけだが、ここからが長かった。
ちゃんと地図を確認していなかったけど、けっこうな距離がある。要するにアホである。


うねうねうねうね。ひたすら小カーブが続き、途中に集落の一つも無い。


ひえー。落石の痕跡が、至る所に。すげえパワーだ。


もしかして、この山道は永久に終わらないのではないだろうか。
そんな幻想に取り憑かれ、その悪夢から醒めて、それでもなお、まだ山道であった。イタズラじゃすまないぜ。


海抜ゼロメートルにいたはずが、いつの間にやら高いところに来ている。

こんなところでも、他車と行き会う可能性はゼロでは無い。細い道を慎重に進むのは、神経を遣う。
ついぞ、対向車も後続車も来なかったが。


ああ広い道に出たぞ、と思ったらまたすぐ狭い道だった。

一時間半ほどだろうか、数百あるいは数千のカーブをやっつけ、辺りもすっかり暗くなったころ、
ようやく無間回廊を脱出した。峠を三つは越えたはずだ。疲れた。


温泉に辿り着く。奇しくもというべきかそうでも無いのか、
ここ肝付(きもつき)町は、協力隊の同期が活動していた町である。

少し年数を感じさせる施設。お風呂も小ぢんまりとしていて、洗い場数6。
湯船の船底からはブクブクブクブクと、けっこうな勢いで泡が立ちのぼっていた。
受付のおばちゃんとお客のおばちゃんがテレビを観ているだけで、他は誰もいない。
貸し切り状態で、山道運転長時間コースの疲れをほぐさせてもらった。

道の駅などは無いようなので、近くの国道沿いにあったパーキングスペースに車を停める。
もう今日は走り回りたくないんだぜ。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:323km/Total:8,954km】



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